2月定例会 個人質問(教員の働き方改革)

長時間労働が常態化している背景は何か。教員の長時間労働をどう認識しているのか【高橋議員】

 子どもたちが毎日通う学校で、一番接する機会が多いのが先生たちです。その先生たちの長時間労働は今、大きな問題となっています。

 長時間労働によって何が起きているか。授業準備の時間が足りない、「先生、遊んで」「先生、話を聞いて」という声に応じたり、いじめなどの深刻なケースに対応したりするための時間や心の余裕がなくなっています。もちろん保護者との意思疎通を図るための時間もとることができません。そして長時間労働が一つの原因で、休職に追い込まれることも。その結果、担任の先生がいなくて落ち着いて勉強できない、先生が休んだのは自分たちのせいじゃないかと不安な気持ちになってしまうなど、子どもたちに少なくない影響が出ています。

 市長は提案説明で、「先生が子どもと対面し・・・生徒の横に並び学んでいく姿勢が、学びの根底には不可欠」と言われました。その点について私も共感します。でも実態はどうなっているか。

 文部科学省が今年1月に示した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」で、教員の所定の勤務時間外の在校等時間の目安を月45時間以内と示しました。45時間というのは、これを超えると過労死等の恐れが高まると厚生労働省が示している時間です。本市の教員はどうなっているか調べてみたところ、昨年4月の時間外在校時間が月45時間を超えた教員は全教員数約11,000人のうち6,302人(57.9%)で5人に3人、中学校だけでみると約3,300人中2,077人(63.6%)と3人に2人がこの指針を超えています。過労死ラインと言われる月80時間以上も昨年4月は市全体で1,954人(17.3%)、5人から6人に1人が過労死ラインを越えて働いています。中学校では1,075人(32.9%)で、3人に1人です。

 さらに本市では今年2月1日時点で、27校で産育休などの代わりの先生が配置できていないという状況。代わりの先生が配置されても常勤講師ではなく非常勤という学校も13校で14人あり、忙しすぎて子ども一人ひとりに余裕をもって接することができないとの声も聞こえてきます。

 それでどうして、子どもたちに寄り添えるのか。先生たちに余裕がなければ、そして必要な教員が確保されていなければ、市長が言う「子どもたちの大きなストレスや悩み・苦しみを生む」ことになりませんか。

 長時間労働が常態化している背景は何だと考えていますか。この間、部活動の外部顧問の拡大など、対策は行ってきていますが、それでもなくならない教員の長時間労働について、どのように認識していますか。

より短い時間で成果を上げることが大切であるという姿勢を教育委員会や管理職、教師一人一人が持つことが重要(教育長)

 2019年1月25日に、国の中央教育審議会で、学校における働き方改革に関する総合的な方策についての答申がとりまとめられております。

 答申では、学校現場において、不登校児童生徒や外国人児童生徒、障害により特別な支援が必要な児童生徒数の増加など学校や教師が直面する課題が多様化・複雑化しているとあります。

 このような中で、教育の質を向上させるためには、これまでの仕事のやり方を見直し、勤務時間を意識しながらより短い時間で成果を上げることが大切であるという姿勢を教育委員会や管理職、教師一人一人が持つことが重要であるとしております。

 本市においても、定時退校日や学校閉庁日の設定を始め、校務事務のシステムによる効率化、スクールサポートスタッフの配置、各学校での意識改革や業務改善などの様々な取組みを進める中で一定の削減効果が出ており、引き続き取り組みを進めてまいりたいと考えております。

教員の増員は必要不可欠。国に定数改善を求め、市独自に教員の持ち時間数の上限を定めるべきではないか【高橋議員】

 もともと教員の授業負担は、長い間担当する授業時間は1日4時間とされ、他の時間を授業準備に充てることとされていました。そしてそれを基準に定数配置が行われてきました。ところが現在では、国はその基準を投げ捨て、小学校教員の多くが1日に5時間、6時間の授業をしています。1日6時間の授業をこなし、市の規定通り45分の休憩をとれば残る時間は25分程度しかありません。子どもを取り巻く環境は複雑化している今、その相談相手となるべき先生が、子どもからの相談にじっくりと答えられないのが現状です。

 先生たちが時間に追われることなく、子どもに寄り添った教育活動ができるように、まずは以前のように先生の持ち時間数を1日4時間に戻す、そのためにも教員の増員は必要不可欠です。

 教員の異常な長時間労働をなくすためにも、国に対して定数改善を求めると同時に、本市においても独自に教員の持ち時間数の上限を定め、増員を進めるべきではありませんか。お答えください。

拡大を国に求めてきた。引き続き、実情に応じた教員配置に努めたい(教育長)

 義務教育の教職員定数につきましては、平成29年4月の県費負担教職員の指定都市への権限移譲を機に、本市の様々な教育課題に取り組むため、その拡大を国に対し直接求めてまいりました。その結果、一定の改善を図ったところです。今後も、引き続き、本市の実情に応じた教員配置に努めてまいります。

 なお、標準的な授業時間等の在り方については、引き続き中央教育審議会において時代を見据えた検討を行うとされており、これを注視していきたいと考えております。

相談したくても先生が忙しそうで声がかけられない状況の改善が重要だ(意見)【高橋議員】

 教員の働き方改革について、長時間労働の抜本的な問題は、教員が足りていないというところです。そのことによって一番影響を受けるのは子どもたちです。相談したくても先生が忙しそうで声がかけられない。そんな状況を改善するためにも、国待ちにならず、市がもっと率先して、抜本的な改革に取り組む必要があることを指摘しておきます。