名古屋港管理組合議会が7日、8日の2日間開催されました。
私は7日の本会議で名古屋港のしゅんせつ土砂処分計画について質問をしました。
以下、質問と答弁を載せておきます。
名古屋港のしゅんせつ土砂処分計画について
(1)ポートアイランド南側、南5区南側におけるしゅんせつ土砂処分計画の現状について
【高橋】通告に従い、名古屋港のしゅんせつ土砂処分計画について質問します。
名古屋港内では泊地・航路を確保するために毎年、約30万㎥もの土砂をしゅんせつしています。これは、名古屋港が遠浅の海域であることに加え、庄内川などの河川からの土砂が流入するために、常時しゅんせつを行わなければ、泊地・航路を確保することができないためです。それに加えて、国際競争力強化のために、泊地・航路の増深も行っており、合わせて年間約60万から70万㎥のしゅんせつ土砂が発生しています。
このしゅんせつ土砂は現在、ポートアイランドに運び込まれています。もともとの計画でポートアイランドは、海面高5.3メートル、約3,000万㎥のしゅんせつ土砂を受け入れるというものでした。しかし、その後しゅんせつ土砂の処分できる埋立地がないことなどを理由に、当初の3,000万㎥をこえ、さらに将来海面高18メートルまで、約2,000万㎥のしゅんせつ土砂が仮置きされ、計約5,000万㎥となる予定です。
このポートアイランド、国土交通省によると、平成30年代前半には受け入れの限界を迎えるとのことで、新たな大規模処分場の確保が急務とされています。その新たな処分場計画として、国土交通省では中部国際空港沖への約3,800万㎥のしゅんせつ土砂埋立が検討されています。
港湾計画ではどうなっているでしょうか。2015年に改定された港湾計画の中では、ポートアイランド南側(地図示す)や南5区の南側(地図示す)の埋立予定地において、しゅんせつ土砂を処分する計画が示されています。これらの計画は現状の形として、南5区南側が1981年(昭和56年)に、ポートアイランド南側が1990年(平成2年)に港湾計画に示されていましたが、進められる様子がありません。様々な関係者もいて、とりまく状況もいろいろとあるのでしょう。それでもなお計画があるということは、事業実施の見込みはあるということにも受け取れますが果たしてどうなのか。
そこでお聞きします。現在の港湾計画では平成30年代後半を目標年次としてポートアイランド南側、南5区南側でしゅんせつ土砂の処分をするという計画になっていますが、現状計画実施に向けてどのような状況となっているか、お答えください。
【企画調整室長】「名古屋港のしゅんせつ土砂処分計画」についてお答えします。
まず1点目の、「ポートアイランド南側、南5区南側におけるしゅんせつ土砂処分計画の現状」についてです。
ポートアイランド南側の埋立予定地については、事業者である国から、「現時点では、事業実施の目途が立っていない」と聞いております。
また、南5区南側の埋立予定地については、土地需要の具体的な見通しが立たないことや事業採算性の確保が難しいこと等の課題があることから、事業化を見合わせている状況です。
(2)埋立予定地における、土砂の調達と規模について
【高橋】港湾計画では、処分予定地以外にも、港湾機能の強化のために、金城ふ頭(地図示す)、弥冨ふ頭第一貯木場(地図示す)、北浜ふ頭(地図示す)などでも埋め立ての計画がされています。これらの埋め立て予定地はどうなっているか。北浜ふ頭については、国際バルク戦略港湾として選定されたものの、国際情勢などの変化によって予算も立てられない状況で実質ストップしていますが、金城ふ頭や弥冨ふ頭第一貯木場については埋め立てが進められる見通しと聞いています。
そこでお聞きします。金城ふ頭や弥冨ふ頭第一貯木場などの埋め立て予定地については、どこから土砂を調達するつもりですか。埋め立て規模はどれぐらいとなる見込みですか。
【建設部長】次に2点目の「埋立予定地における、土砂の調達と規模」についてお答えいたします。
現在、金城ふ頭では、完成自動車取扱機能の集約・拠点化や自動車専用船の大型化への対応に向け、ふ頭再編改良事業に取組んでおり、また、弥富ふ頭第1貯木場北側では、コンテナ貨物の増加等に対応した物流用地の確保を計画し、それぞれ埋立造成に向け手続きを進めております。
これらの埋立造成に際しましては、港湾施設の機能維持や整備に伴い発生する港内のしゅんせつ土砂を埋立用材として、有効活用していくことを予定しております。
また、埋立予定地の規模につきましては、埋立容量として、金城ふ頭では約240万立米を、弥富ふ頭第1貯木場北側では約147万m3を予定しております。
(3)しゅんせつ土砂の有効活用の検討について
【高橋】ところで、名古屋港から発生するしゅんせつ土砂は、埋め立てる以外に方法はないのでしょうか。名古屋港のしゅんせつ土砂については2016年に環境大臣から国土交通大臣に対して、「しゅんせつ土砂の低減等を検討し、新たな海域処分は可能な限り回避する」意見が出されています。名古屋港から発生し続けるしゅんせつ土砂の行き場がないこと、そのことによる将来の名古屋港の機能維持に危機感があるということでしょう。必要な開発は否定しませんが、実態に見合わない、大型船を見込んだ岸壁増深などは、しゅんせつ土砂を増やす過剰な開発じゃないか、このことはこれまでも指摘をしてきましたが、今後の開発について、いよいよ見直す時期になってきているのではありませんか。同時に新たな埋め立てをしないためにしゅんせつ土砂の有効活用ができないか、ということも考える必要があるでしょう。そこでお聞きします。環境大臣の「しゅんせつ土砂の低減等を検討し、新たな海域処分は可能な限り回避する」という意見を踏まえて、名古屋港で発生したしゅんせつ土砂の海域処分を可能な限り回避するための有効活用についてどのような検討がされてきたのか、お答えください。
【企画調整室長】次に3点目の「しゅんせつ土砂の有効活用の検討」についてお答えします。
埋立て以外のしゅんせつ土砂の有効活用の検討につきましては、中部地方整備局は、良好な港湾環境の形成の観点から、平成24年度から29年度まで、しゅんせつ土砂を一部活用した人工干潟の造成に関する実証実験を、ポートアイランドの東側において行ってきたところです。
(4)ポートアイランドの仮置き土砂の移動について
【高橋】ポートアイランドに仮置きされる約2,000万㎥の土砂は今後どうするのか。現在の港湾計画では、仮置き土砂についても港内で埋め立てを行うための計画土量に含まれていますが、ポートアイランドは補強も行われており、もし災害が発生しても、復旧可能な程度の被災となる見込みです。今後のポートアイランドの土地利用についてもまだ決まっていません。土砂を移動させなければならないのか、それとも現在の土砂をそのままポートアイランドで利用するのかどうか、そのこともまだ決まっていません。この仮置き土砂、私はすぐに他の埋め立て予定地へ移動させる必要はないと思いますが、港湾管理者として、今すぐに動かす必要性についてどのように考えていますか、また今後のポートアイランドの土地利用を考えるうえで必ず動かさなければならないものなのでしょうか、お答えください。
以上で私の第一回目の質問を終わります。
【企画調整室長】次に4点目の、「ポートアイランドの仮置き土砂の移動」についてお答えします。
ポートアイランドにつきましては、港湾計画において、将来の大水深岸壁及び埠頭用地等のための開発空間として留保することとしており、現在は、名古屋港内から発生するしゅんせつ土砂を仮置きできる唯一の大規模なしゅんせつ土砂処分場となっております。
また、平成30年3月に名古屋商工会議所により「名古屋港ポートアイランド将来利用に向けた提言」が取りまとめられました。
本組合といたしましては、その提言を受け、ポートアイランドの将来の利活用に関しまして、社会情勢の変化や要請を的確に捉えるなどの情報を収集するとともに、関係者との議論を深めてまいります。
こうした中、ポートアイランドの仮置き土砂の移動につきましては、有効な土地利用を行う上で基本的に必要であると考えており、その取扱いにつきましては、今後、取り組むべき重要な課題であると認識しております。
(再質問)港湾計画におけるしゅんせつ土砂の港内処分の基本的考え方について
【高橋】それぞれご答弁いただきました。ポートアイランド南側や南5区南側の埋め立て予定地、進めることが難しいと。中部国際空港沖でも、様々な関係者がおり、環境影響評価方法書に対する住民のみなさんからの意見でも、多くの方から埋め立てされると困るという声もある中、果たして新たな大規模処分場として進められるのかは疑問に感じます。
それを踏まえて1点再質問いたします。
金城ふ頭や弥冨ふ頭第一貯木場埋め立て予定地への土砂は港内のしゅんせつ土砂を有効活用していくとのことですが、しゅんせつ土砂を港内で活用することで港湾機能の充実が効率的に図れるということですよね。であれば港湾計画で示された埋め立て計画を進めるためには、しゅんせつ土砂を港外に持ち出すよりもまずは優先して港内で処分・活用する必要があるかと思います。基本的に名古屋港内で発生したしゅんせつ土砂は、港湾計画で位置づけられている埋め立て予定地での処分・活用が優先されるという考え方でよろしいですか。
【企画調整室長】再質問の「港湾計画におけるしゅんせつ土砂の港内処分の基本的考え方」についてお答えします。
名古屋港は、港湾機能を維持強化する上で、継続的に航路や泊地のしゅんせつ事業を行っていくことが不可欠であります。
港湾計画においては、しゅんせつ土砂の発生と受入れの整合を図っているものの、事業化を見合わせている埋立予定地もあることから、新たな処分場は必要であると認識しております。
今後、本港を取り巻く環境の変化に適切に対応し、しゅんせつ土砂を安定して受け入れていくことができるよう取り組んでまいります。
【高橋】安定して受け入れていく、しゅんせつ土砂は港内で処分できるように取り組んでいくと。とても大事なことです。第一は中部国際空港沖に新たな埋立地を作るわけではない。その姿勢をこれからもしっかりと持ち続けていただきたい。ポートアイランドの仮置き土砂は、いつ、どれだけの量の土砂を移動するのか、決まっていません。今すぐどうにかしなければいけないわけではない、念を押しておきたいと思います。有効活用については、人工干潟造成の実証実験を行ったとのことで、課題も見つかっているようですが、これはこれで進めながら、もっと広い視野で有効活用策を検討すれば、しゅんせつ土砂の処分量は更に減るでしょう。管理組合にはそこに力を入れていただきたい。港内で処分できないから港外へ出してもいいというものではありません。改めて港内で発生したしゅんせつ土砂の処分について、他の地域へ負担を押し付けることがないようにと意見を申し上げて、私の質問を終わります。